着物の女王!大島紬。その特徴や魅力とは?

大島紬とは?高く評価されている織物!

大島紬は鹿児島県の奄美大島を中心に作られている織物です。約1,300年の長い歴史を持つ日本の伝統工芸品で、ペルシャ絨毯、フランスのゴブラン織りとともに世界三大織物にも数えられています。日本国内でも大島、結城、塩沢の3つが日本三大紬と呼ばれているため、上質な織物として大島紬を知っている方も多いのではないでしょうか。

大島紬は鹿児島県の奄美大島を中心に作られている織物。約1,300年の長い歴史を持つ日本の伝統工芸品で、ペルシャ絨毯、フランスのゴブラン織りとともに世界三大織物にも数えられる。

大島紬の歴史

大島紬の発祥は奄美大島です。定かではありませんが、初期の大島紬は自家用に手紬糸を用いて織られ、島民が普段着として着用していたようです。正倉院の書物のなかには「南方から赤褐色の着物が献上された」という記述があり、1300年前にはすでに泥染めの文化が奄美大島に定着していたと考えられています。その後徐々に技術が洗練されていき、江戸時代には薩摩藩への上納品に定められました。明治時代初期からは商品として製造されるようになり、大正時代に本絹練糸を使用した現代に通じる大島紬として確立されました。

大島紬の特徴

大島紬の特徴は、その暖かみのある色と光沢、繊細な文様、そしてしなやかで軽い着心地です。黒に近い独特の深い色を持ち、上品な雰囲気を醸し出します。江戸時代、大島紬は真綿などを紡いだ糸で作られていましたが、現在の定義では大島紬は絹を100%使用して作られたものだけとなっています。そのため高級品のイメージがありますが、薄くて丈夫であり、非常に長持ちするため実は普段着にも適しています。

大島紬の特徴は、その暖かみのある色と光沢、繊細な文様、そしてしなやかで軽い着心地。黒に近い独特の深い色を持ち、上品な雰囲気を醸し出す。

柄の種類

大島紬の柄では、自然の草花がモチーフとして多用されます。代表的な古典柄の一つが龍郷柄。奄美に自生するソテツの葉とハブの背模様を中心に据えたデザインで、女性用の着物などに用いられます。機械織りでは表現が難しく高度な技術を要する柄ですが、現代的な感覚にマッチすることもあって幅広く支持されています。一方、男性用の着物や小物によく用いられるのが亀甲柄。長寿の象徴である亀にちなんだ縁起の良い模様です。六角形をつなぎ合わせる単純な柄が基本ですが、作者によって草木の柄と組み合わせるなど、様々なアレンジが加わります。

手間と時間をかけて作られる

大島紬を一つ作り上げるのには、30以上もの工程と半年から1年もの時間が必要です。ここでは簡単に大島紬の制作工程をご紹介します。

1度目の織り

通常の織物では織りの工程は1度のみですが、大島紬では出来上がるまでに2度の織りの工程があります。糸を染める前に行われる最初の織りが「絣締め」です。

出来上がりの形や色調などをイメージした図案に従って、絹糸で作られる柄の中で色を入れない部分に綿糸を織り込みます。絹糸に綿糸を織り込んだものを「絣筵(かすりむしろ)」といい、綿糸は染色した後に解かれることになります。

染色

絣筵を「テーチ木(シャリンバイ)」という奄美エリアに生息する植物の煎汁液と鉄分入りの泥土で繰り返しもんだり漬けたりします。生糸のたんぱく質、テーチ木に含まれるタンニン酸色素、泥土の鉄分などが化学結合を繰り返すことで、生糸は色落ちしない深い黒色に染まります。このようにテーチ木と泥土を用いる染め方は「泥大島」と呼ばれますが、大島紬にはこれ以外にも多くの染め方があります。藍染の絣糸をテーチ木と泥で染めた「泥藍大島」、テーチ木以外の草木を使用した「草木染大島」、白土(カオリン)で染められた糸や染めていない糸を使った「白大島」、化学染料を使用した「色大島」などです。

2度目の織り

次に行われる染められた糸を織る作業はとても複雑です。大島紬は先染めなので、織の段階では縦糸と横糸を狂いなく合わせて柄を作っていかなければいけません。高い技術によって、大島紬の特徴である美しい絣(先染めによって染まっている部分とそうでない部分が混ざっている模様)が出来上がります。なお、これら一連の作業は一人で行うのではありません。工程ごとに多くの職人さんがリレーのように手を加えていき、皆で一つの作品を生み出しているのです。

多くの工程を経て作り上げられた大島紬はしなやかで丈夫であり、着物にすると150年~200年着られるとも言われます。手間と時間をかけた生地は、各産地の組合の厳しい検査に合格してやっと本場大島紬であると認められます。

進化する大島紬

現代ではさまざまな伝統工芸品が直面している、若者への文化継承の問題。大島紬も例外ではありません。しかし、大島紬を現代にも合う形にアレンジして新しい魅力を知ってもらおうという取り組みも行われています。最近では着物だけではなく、洋服やネクタイ、ブックカバーなどの小物類にも大島紬の技法を活用して作られているものがあります。着物はなかなか着る機会がないという方は、まずは小物から大島紬に触れてみるのも良いかもしれませんね。

まとめ

丁寧に作られている分、高級なイメージのある大島紬ですが、丈夫で美しく日常使いしやすい織物でもあります。見た目の美しさはもちろん、高い機能性にも注目です。

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